マーケット・インからカスタマー・インへ

マーケット・インはプロダクト・アウトの反対の言葉です。プロダクト・アウトは「物を作って売る」という発想で、生産側の都合を優先する考え方です。日本では高度経済成長期によく見られた考え方です。この時代には物は作って店頭に並べれば売れたので、マーケティングという考え方をさほど必要としませんでした。

これに対して市場のニーズを捉えて、顧客が求めるものを作って提供しようという考えがマーケット・インです。市場が成熟していくことと、消費者の多様化に伴い、市場の主導権を握るのは顧客に最も近い位置にある小売業に遷ってきました。これによって、メーカーは直販のお店を設けたり、小売店と情報を共有することで消費者の動向をダイレクトにキャッチし、魅力ある商品の開発を行っています。

これまで行われてきた大量生産・大量消費の時代は終わり、個人の価値観を尊重する多様化社会へと移行しています。これまでの供給者主導(サプライヤー・イニシアチブ)から消費者主導(ユーザー・イニシアチブ)へ、物を作って売るから要望に合わせて作ってから売ることへ、つまりは小売りから顧客へと主導権がシフトしているのです。

こうした動きが活発化してきたことで、顧客との直接対話を行い顧客満足を追求するマーケティング、つまりは「カスタマー・イン」が主流となってきました。このカスタマー・インがこれからのインターネットを中心とした時代のキーワードとなっています。

このカスタマー・インの事例として紳士服のオーダーメイドが挙げられます。パターン・オーダーメイドは、あらかじめ用意されたパターンの中から生地やデザイン、サイズなどを指定し、自分の好みのスーツをオーダーするものです。採寸から全てを行うフルオーダーも人気を博しています。飲食業では、パン生地やトッピング、味付けなどを自分で選べるシステムの採用が進んでいます。これらがいずれも消費者のこだわりや価値観を反映させた販売方法であり、カスタマー・インの好例と言えます。

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